人が操るものは、人の心理と同じように動く

読書:ビジョナリーカンパニー3 衰退の五段階

経営者にはビジョナリーであってほしいですよね。独創性に優れていて、社会に貢献できるビジネスをして欲しい。そうでないと、見ている先が競合他社だけになっちゃうと思うんです。

 

世界中の経営者に読まれたベストセラー、ビジョナリーカンパニーの著者ジェームズ・コリンズが、今まで成功していた企業がなぜ大きな失敗をしていまうのか、について述べています。

この著作はトヨタ株主総会で取り上げられたことでも有名になりました。

他にも、成功企業の失敗について書いた本は多数あります。

有名なものですとクレイトン・クリステンセンの『イノベーションのジレンマ』。これも耳にタコが出来るくらい話題に上る定番ですね。成功企業は優れた経営をしているから成功をしたが、既存の顧客の要求ばかりに答える経営をし、新しい画期的な「破壊的技術」を見過ごすことで、次世代の競争では敗退をしていまうということを提示しました。

コリンズはそのような失敗はどのように起きるのかについて様々な企業の事例から追い掛けていきました。

 

イノベーションのジレンマは技術大国日本によく当てはまる

売れた商品をより良く改善し、顧客が求めているスペックを追い求め走ってきたつもりが、いつの間にか振り返ると顧客はついてきておらず、従来品を改良しすぎてオーバースペック、そんなに必要としてませんよという感じ。気づくと下に見ていた企業から従来品にとって変わるような斬新な商品が出され、顧客が奪われちゃう感じ。

技術といえばソニーです。(私がゲーム好きなだけかしら)

ソニーは、創業期から「おしゃれで新しい製品を開発する企業」と言われていましたが、自らの成功から、新しい商品ではなく既存の改善であったり、インターネットや保険など次々と本業と関係のない事業に規模を拡大していった。家電の業績は下がり続け、ゲームでは任天堂のDSに惨敗しています。それでも・・・PSなどのオーバースペックの開発にすがり続け、成果を上げられていません。ポストペットもすごく良かったのに、旧型メールシステムに固執し、時代に乗れなかった感じがします。任天堂Wiiオーバースペックになってきていますね。

 

企業が衰退するには5つの段階を経る

①成功から生まれる傲慢

成功を当然視する見方が深い理解と見識に勝った時に、やがて衰退がはじまる可能性が高くなる

②規律なき拡大路線

どんどん規模を拡大するようになるが、拡張しすぎたために人員が不足するか配置に失敗するということが起きる

③リスクと問題の誤認

経営者が悪い情報を軽んじるようになり、自身の責任を引き受けない。リスクをとった時の結果を考えなくなる

④一発逆転策の追求

3段階の問題とリスクテイクの失敗によって、衰退が誰の目にも明らかになると、一発逆転狙いの策にすがろうとする

⑤屈服と凡庸な企業への転落か消滅

後退を繰り返し、再建のための資金も絶え、士気が低下し、経営者が偉大な将来を放棄する

 

1段階目と2段階目の間には、既存事業に投資してもお金が余る(だぶつく)局面があるのですね。既存の事業は成熟しているから、そのままでは投資はそれほど必要ない。だからと言って、シェアをもってますから破壊的イノベーションを起こすようなチャレンジをするわけでもない。そうすると、売上をあげていくためにも、お金を使うためにも、新しい事業に手っ取り早くお金を投資して多角化したくなる。

 

まとめ

ビジョナリーカンパニーシリーズ初めて読んだのですが、会社もまるで人の人生のようですね。人が操るものは、人の心理と同じように動くということでしょうか。

会社を成功させ続けるには、当たり前ですが、常にチャレンジし創造していかなければジリ貧を迎えるのでしょう。そこら中で寝ずに働くスタートアップがぽんぽこ出てきているので。認知しているのに、行動できなくなるのは、様々なしがらみや保身、おごりが生まれるからでしょうか。人間そのものですね。そして、同じく人間にしかできないこと、情緒に抗い、理性をもって合理的にコントロールすることが重要ということですね!

言うが易く行うは難し、頑張ります!!